【久渡寺】飾ると必ず雨が降る掛け軸の謎

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画像引用:弘前経済新聞https://hirosaki.keizai.biz/headline/photo/790/
次回の公開は、平成30年7月1日(旧暦5月18日)12時~13時です。

飾ると必ず雨が降る謎の掛け軸


津軽弘法大師霊場第6番札所の弘前市久渡寺にはこの様な言い伝えの掛け軸があります。

それは、円山応挙(まるやまおうきょ)筆の「反魂香(はんごんこう)之図」です。

これは久渡寺の幽霊の掛け軸と言われます。
この幽霊の掛け軸には、悲しい言い伝えがあります。

今から300年くらい前の江戸時代。
円山応挙という後の「円山派」の祖と言われる有名な画家がいました。

ある日、写生を主とした作風の円山応挙が、幽霊の姿を実際に見たことが無いので、どうしても絵に描くことが出来ずにいました。

そんな夫の姿を見かねた妻「お雪」が、夫の為にと自ら命を絶ち、応挙の夢の中で幽霊となって現れました。

その姿を描いたのがこの幽霊画で、白い着物を着て足が無い幽霊の姿の基となった1枚です。

題名にある「反魂香(はんごんこう)」とは、中国の伝説です。

前漢の武帝の時代、亡くなった妻の李夫人を思い、武帝は悲しみに暮れていました。
そこで、国の道士に命じて「反魂香」という死者の魂を呼び戻すお香を作らせ、玉の釜で煎じて練り、金の炉でその香を焚くと、煙の中に亡き李夫人の姿が見えたといいます。

幽霊の姿を見ると、淡い色彩で穏やかな表情を浮かべる女性の姿で、「うらめしや~」の幽霊とは少し違った美しい幽霊です。

少し悲しげに見えるのは最愛の妻を亡くした応挙の心が写っているのでしょうか。

久渡寺では、応挙の妻お雪の命日である旧暦5月18日に、追善供養の為にこの掛け軸を下げて、一般公開しています。

応挙の悲しみの涙なのか、応挙の妻お雪の命日に掛け軸を飾ると、必ず雨が降ると昔から言い伝えられています。

真贋について


さて、一説には、足が無い幽霊の姿を最初に絵に表したのが円山応挙と言われ、この幽霊画は後の幽霊に対するイメージに影響を与えた絵になります。

円山応挙と言えば江戸時代の画家で、弟子たちが手本として描いたので贋作が多いことで知られます。
その中で、応挙真筆の妻の幽霊の姿とされるのは、アメリカのカリフォルニア大学バークレー美術館所蔵の一幅と久渡寺の一幅の2つだけと言われています。

真贋について分かりやすくまとめられたブログがありましたので、そこから引用します。

 応挙の作と伝えられる「幽霊図」は、国内外に複数伝存しており、その中でも代表的なものは三つある。一本目は青森弘前市の久渡寺(くどじ)にあり、二本目はカリフォルニア大学バークレー美術館、三本目は東京谷中の全生庵が所蔵する。

引用:https://blogs.yahoo.co.jp/mishima_doo/19504473.html

 久渡寺本は「反魂香之図」としるした箱に納められており、画中には落款がない。淡い墨を用いた一切迷いのない自然な線で、楚々として描かれた女性の佇まいは、応挙の『人物正写惣本』(天明7・1787年 天理大学付属天理図書館蔵)にみられる人物描写に酷似している。

引用:https://blogs.yahoo.co.jp/mishima_doo/19504473.html

 バークレー本は人物の背後、後頭部のあたりに「戯図」とあり、そのすぐ下に「應挙之印」「仲選(応挙の字)」白文方印二顆が捺印されている。久渡寺本と比較するとその差異は微だが、顔の線は柔らか味が消えてややこわばっており、線の厚みでふっくらと立体的に表現されていた衣紋線もバークレー本ではその精彩さが薄れている。落款があることから、享受者の求めに応じて再び描かれたものか。

引用:https://blogs.yahoo.co.jp/mishima_doo/19504473.html

 全生庵本はほかの二本とくらべて線に緊張感がなく、明らかに写し崩れがある。落款が無いのもそのためだが、応挙の作品には贋作が多く、そういった意味でこの絵は良心的である。また、顔には意図的に死相を表す青い絵の具が薄く彩色されており、この絵が死者の姿を描いた「幽霊図」であることを示している。

引用:https://blogs.yahoo.co.jp/mishima_doo/19504473.html

久渡寺の掛け軸の箱書きに、この幽霊画が最初に書いた物だとあり、バークレー美術館の絵は後に応挙が始めに書いた絵を写して書いたものということです。

引用先には3本の比較写真が載っていますので、興味のある方はご覧下さい。

しかし、やっぱり本物を見たい。それなら年に一度だけ見ることが出来ます。↓↓↓

久渡寺の幽霊の掛け軸の公開日は

https://hirosaki.keizai.biz/headline/photo/790/
「反魂香之図」は普段は秘蔵され公開していませんが、年に一度、旧暦5月18日(応挙の妻の命日)に1時間だけご参拝できます。

次回の公開は、久渡寺の幽霊の掛け軸は、平成30年7月1日12時~13時の公開となります。

関連リンク:弘前で円山応挙の幽霊画一般公開 公開時に降雨も
2017年06月12日弘前経済新聞

毎年、この日は雨が降ることで有名な久渡寺の幽霊掛軸。
昨年は、朝から晴れていたのに、掛け軸を展示した途端に雨が降り出しました。

不思議

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